【医療費で損してない?―知っておくべき医療費制度・節税編】

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こんにちは。

FPのバレンです。

夏が近づき徐々に暑さが本格化してきているのを実感しますね。

季節の変わり目は風邪や、持病をこじらせやすい時期でもあり、皆さんも日々、対策をしているのではないかと思います。

とは言っても、病気は絶縁できないものであり、予期していないタイミングにこそ降りかかってくるものです。

無事に過ごせることを祈るばかりですが、今日はFPの観点から”知っておくべき医療費制度”について具体的にどこよりも分かりやすく解説していきたいと思います。

それではいってみましょー。

目次

■ どんな医療制度があるの?

日本にはどんな医療制度があるのでしょうか?

まず前提として、日本国民は、皆保険制度といって、国民全員が何かしらの保険に加入している状態となっています。

米国とは異なり、これは日本独自の制度です。

この皆保険制度には、非常に助けられる側面が多く、メリットが大きいです。

※米国では、各人がいろんなタイプの保険を選択して加入する仕組みから日本のように誰しもが平等に医療を受けることが叶わない側面があります。

では実際に日本の医療費制度にはどのような制度があるのでしょうか?

見て行きたいと思います。


■ 日本の医療制度 ■

➀ 高額療養費制度

② 世帯合算
③ 高額医療・高額介護合算療養費制度
④ 多数回該当
⑤ 付加給付
⑥ 医療費控除
⑦ ひとり親家庭等医療費助成制度
⑧ こども医療費制度
     etc…

上のように、あげればきりがない位、医療費制度が存在しています。

上記以外にも、難病助成制度大気汚染医療費助成制度不妊治療助成制度など多岐に渡ります。

そのため、病院へ掛かることになった際や、疾病を患ってしまった際には、ご自身やご家族で一度自身の治療に対して助成制度が存在するのかどうかを調べてみることをオススメします。

入院・通院や治療に掛かるお金は、急な出費となるため、一時的であっても長期的にも家計を圧迫してしまうことも少なくありません。

勿論、お金が全てではありませんが、知っておくことで不安の要素が軽くなるはずです。

今日は、その中でも身近な制度である、①~⑥の制度について具体的に見て行きたいと思います。

① 高額療養費制度

高額療養費制度は、1カ月間の医療費の支払額が一定額を超えた場合に、超えた分の払い戻しを受けられる制度です。

ここで言う、支払額とは、自己負担額の事を指します。

もう少し具体的に言うと、医療保険は年齢や収入によって、自己負担額が1割~3割と変わってきます。

具体的には下の表を参考にして頂ければと思います。


この表のとおり、6歳以上70歳未満の方であれば原則3割負担となります。

すなわち一回の治療で10万円の治療費となった際には、請求される金額は10万円ではなく、10万円×0.3(3割)=3万円となります。

これが自己負担額です。

※但し、入院中では食事代や差額ベッド代は全額自己負担なので注意が必要です

この自己負担額が一定額を超えた際に、超えた分を後々払い戻しを受けられる制度が高額療養費制度となります。

では具体的にいくら位になるのか?見て見たいと思います。

上の表の通り、70歳未満では5段階、70歳以上では6段階に分かれます。

まずは、ご自身の年収(手取りではなく、税金が引かれる前の額面)がいくらなのか?

をチェックした上で、表に当てはめて確認してみましょう。

更に具体的な計算方法について深堀していきましょう。

ここでは参考までにバレン家に登場して貰いましょう。


■ バレンのプロファイル ■

・50歳・男性
・家族構成:妻・子供1人
・国民健康保険に加入
・年収600万円
・階段から転倒し足を骨折して1週間入院
→医療費総額は30万円だった

バレンさんは年齢70歳未満で年収600万円となるため自己負担額は下のようになります。


■ 自己負担額:80,100円+(医療費総額―267,000円)×1%

これがバレンさんの月に掛かる医療費の総額です。

バレンさんは不幸にも階段から転倒し、1週間で30万円の医療費が掛かりました。

この場合の自己負担額の計算は、


■ 80,100円+(300,000円(医療費)―267,000円)×1%=80,430円

一旦、病院の窓口では30万円×3割=9万円を支払うことになりますが、3カ月後に保険者より9万円―8万430円=9,570円が払い戻しされることになります。

これが高額療養費制度です。

日本ではこのようにどれだけ多くの治療費が掛かったとしても、高額療養費制度に守られているがため、医療保険の在り方についても色んな意見がでています。

過去記事:【保険の加入で損してない?保険控除とは?わかりやすく解説ーFP講座ー】

但し、先ほどもお伝えしましたが、医療費総額の中には入院時の食事代や差額ベッド代は含まれていませんのでご注意下さい。

加えて、これらを計算する上では下記のポイントにも注意が必要です。


■ 注意点

① 同一月内であること
② 医科と歯科、入院と通院は別
③ 複数の診療科は合算可能
④ 同一世帯でも一人ずつ数えます

高額療養費制度は月単位での医療費で計算されます。

つまり、仮に月末に10万円、翌月初旬に20万円となってしまうと、高額療養費は算定できないことになります。

(10万円と20万円は違う月なので合算ができません)

また、医科と歯科は別となります。

同一病院もしくは、同一開業医で治療した場合は、複数の診療科でも合算が可能です。

なので、A病院の一般内科で10万円、数日後にBクリニックで1万円となると合算ができません。

(但し、それぞれの支払額が21,000円を超える場合は合算可能)

この場合、A病院の内科と耳鼻科で30万円となれば合算可能です。

(同一施設の複数診療科はOK)

また、入院と通院も個別に数えることになります。

この制度は、申請が必要な場合がありますので、申請方法は保険証の保険者を確認して、HPや問い合わせ窓口にて申請方法を確認してみましょう。

基本は書類を保険者へ送付する形となると思います。

尚、事前に保険者に問い合わせをして「限度額認定証」を発行することで、窓口での支払いを限度額までに抑えることができる制度です。

この制度を活用するメリットは、あらかじめ限度額までの支払いに抑えることができるという点になります。

通常は、窓口で自己負担額を支払ってから差額を払い戻しされるまでに3カ月程度かかります。

それだど、急な出費に対応できない方もいらっしゃると思います。

払い戻しされるまでに時間がかかるので、この限度額認定証を申請しておくことで負担を軽減できることにも繋がるわけです。


■ ポイント ■

☆ 70歳未満/70歳以上で負担割合が異なる
☆ 収入に応じて自己負担額が異なる
☆ 同一月内での計算となる
☆ 医科と歯科は別
☆ 通院と入院は別
☆ 複数診療科は合算可能(21,000円を超える場合はOK)
☆ 同一世帯でも一人ずつ数えます

② 世帯合算

①では一個人に掛かる医療費の制度として、高額療養費制度を紹介してきました。

しかし、一人のみの治療費だけでは、高額療養費に該当しないケースもありますよね。

そんな時に活用できるのが②の世帯合算です。

世帯合算とは、70歳未満であれば、一人当たり自己負担額が21,000円を超える場合は、世帯で医療費の合算ができるという制度です。

すなわち、上のバレンのプロファイルを基にすると、子どもが1人いて、バレンがケガをしたタイミングで子どもも入院を必要とすることになり、自己負担額が3万円だったとします。

そうなるとバレンの30万円に加え10万円(3割とする前の医療費)を合算して計算することができます。


■ 80,100円+(300,000円+10万円―267,000円)×1%=81,430円

なので、二人で自己負担が12万円だったのに対して、差額の38,570円が後日振り込まれることになる訳です。

ご自身以外にも医療費が掛かっている場合には世帯合算での計算を忘れずに確認しておくことをオススメします。

但し、世帯合算を行うには、同じ医療保険に加入していることが必須条件となるため、両親と子供であっても扶養しておらず、既にお子さん自身で保険を別に加入している場合は合算の対象外となります。


■ ポイント ■

☆ 自己負担額が21,000円を超える場合は合算可能
☆ 同じ保険に加入していることが条件

③ 高額医療・高額介護合算療養費制度

次に見て行くのは、高額医療・高額介護合算療養費制度になります。

長ったらしい名前ですね笑

こちらは、世帯内に公的介護保険の受給者がいて、医療保険と合算した自己負担額が一定額を超える場合に、超えた金額が払い戻しされる制度です。

具体的には下記の表をみてみましょう。

こちらにある通り、この制度は高額療養費制度とは異なり、1年間(8月1日~翌年7月31日)に支払った自己負担額で計算がされます。

但し、高額療養費制度を使っている場合は、制度活用後の金額が自己負担額として加算されることと、70歳未満の人と合算するケースでは、1件当たり、21,000円以上の自己負担額が必要となる点は注意しましょう。

分かりづらいので、再度バレンさんに登場して貰いましょう。

■ バレンのプロファイル ■
バレン:80歳
バレンの妻:80歳
収入:年金+αの200万円

上記の場合で、バレンが持病の通院のために年額で20万円、妻が介護保険を活用しながら、介護老人保健施設におり、年間40万円かかったとします。

この場合、年間で合わせて60万円の医療費・介護費が掛かります。

一方で、年収は200万円なので、上限金額は上の表にある通り、34万円となります。

すなわち、60万円―34万円=26万円が保険者より払い戻しされることになります。

但し、高額療養費制度同様、食事費用や、差額ベッド代に加え、入所時の居住費や福祉用具の購入費などは加算対象とはなりませんので注意しましょう。

この制度はご自身やその両親などの扶養の状況に応じて利用したり、夫婦で利用したりするケースもあるかもしれません。

公的介護保険は40歳以上から加入となります。


■ ポイント ■

☆ 年額での自己負担額に応じて決定される
☆ 年齢、収入に応じて限度額が変わる
☆ 同一世帯、保険に加入していることが条件

④ 多数回該当

続いては、多数回該当です。

これは、高額療養費の補足的な制度ですが、年間で4回以上、高額療養費を使う場合、4回以上の支払いは自己負担額がさらに軽減される制度です。

但し、減額となるのは1年間の中でのカウントになりますので、最大8カ月分になります。

尚、1年間の始まりは高額療養費制度を始めて活用した月を起点に1年間と考えます。


■ポイント■

☆4回以上高額療養費制度を使用するケースで減額となる
☆最大8カ月分(8回分)

⑤ 付加給付

付加給付とは、健康保険組合や共済組合などに加入していると、独自の給付制度が用意されているケースがあります。

国が運営している「国民健康保険」ではこのような制度は設けられておりませんが、一般的に500人以上の社員を有する企業などは、健康保険組合が独自に存在し、付加給付の制度が設けられています。

いわゆる、同一月内の医療費自己負担額の上限が2万円までや1万円までと国の制度よりも低く設定されています

この場合、例えば、月に自己負担額で10万円の医療費が掛かったとすれば、まず高額療養費で2万円が払い戻しされ、(80,100+(30万円―267,000)×1%=80,430円)、この8万円から2万円を指し引いた約6万円が健康保険組合から払い戻しされるシステムです。

これを確認するためには、自身の入っている保険組合を確認してみましょう。

⑥ 医療費控除

最後は、医療費控除についてです。

医療費控除とは、年間で一定額を支払った場合に、その、超えた金額を所得から差し引くことができる制度です。

この制度では、本人に加えて、生計を一にする配偶者やその親族の医療費も合算して計算することができます


■ 控除額(上限200万円)=自己負担額―医療保険等の保険金(あれば)‐10万円

 ※ 年間の所得が200万円以下の場合は、所得金額×5%が引かれます

但し、医療費として計算できるものとそうでないものがありますので、確認しておきましょう。

■対象となるもの■
・医薬品購入費(市販薬もOK)
・診察費
・通院費(公共交通機関)
・治療費
・出産費用(定期検診や検査代もOK)
・入院時の差額部屋代・食事代

■対象とならないもの■
・健康診断
・人間ドッグ
・美容整形関連費用
・サプリメントなどの健康増進のための医薬品購入費用

この制度は家族全員でカウントできる制度なので、確定申告に向けてしっかりと領収書や、治療費に関するファイルを纏めておくと便利です。

5年間は書類の保存義務があるため、5年分を纏めておけるものだと分かりやすいと思います。

意外となくしやすいのがレシートですので、しっかりと新しい年には準備しておくことをオススメしますよ。

■ まとめ

本日は、皆さんにとって一番身近な6つの医療制度について具体的にみてきました。

知っているか、いないかだけで大きな差がでてくるのが税金の世界です。

特に医療費は、大半の人にとって突然の出費ですし、介護代となれば、その負担額もぐっと上がってきます。

もしもの時がきても、不安要素を減らせるように準備しておきましょう。

 

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引き続きおトク情報発信してきます。

本日もご覧頂きましてありがとうございました。