【iDeCoの受け取り時期はどうしたらいいのか?わかりやすく解説―FP講座―】

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こんにちは。

FPのバレンです。

過去記事にて、iDeCoとNISAの違いや銘柄の考え方をお話してきました。

今日は、もう少し踏み込んで、受け取り時期や受け取り方のベストな考え方などについてもお話していければと考えています。

それではいってみましょー。

目次

■iDeCoの受け取り開始は60歳からがベスト

 

結論から伝えると、退職金がある程度ある方であれば、60歳から65歳の間に年金の形でiDeCoを年金形式で受け取り、その後一時金で残金を受け取るのがベストです。

iDeCoは60歳以降から受け取りができますが、受け取り方法は3つあります。

年金と同じく毎月一定額給付されるパターン
②一時金で、一気にどかんともらうパターン
③その両方を併用するパターン 

これら3つのパターンを考えていくと、人によってメリット、デメリットがでてきます。

例えば、退職金の有無や、年金額の違い、その他収入などによってベストな選択肢が変わってくるということです。

勿論、老後資金は派手にすぐに使いたい!と考える方であれば。悩まずして、②の一時金で60歳から受け取るというケースもありますし、まだまだ老後に貯めておきたい!と考えるのであれば、70歳までiDeCoで運用を続けながら年金を受け取るという選択肢もあります。

と言っていると困惑してしまうと思うので、今日は一般的な考え方で見て行きたいと思います。

■退職所得の有無(金額)で受け取りパターンを考える

 

ベースとして60歳からの受け取りを考える場合ですが、退職金の有無が大きく影響を与えることになります。

というのは、退職金にも税金が掛かります。

基本的には下記の式の通り、税金の額を決めていくことになります。

■退職所得控除額■
勤続年数20年以下の場合
40万円×勤続年数(勤続2年以下の場合は一律80万円)
勤続年数20年以上の場合
800万円+70万円×(勤続年数―20年)

この場合の勤続年数の端数は、全て切り上げです。
(10年1カ月であれば11年のように)

また、勤続年数とiDeCoの運用期間の長い期間で計算ができるので、仮に勤続年数が10年であってもiDeCoの加入期間が15年であれば15年として計算ができます。

仮に40年間の勤続年数があったとすると、

退職所得控除額は、

800万円+70万円×(40年―20年)=2200万円

となります。

すなわち、退職金が2200万円以下であれば非課税となる訳です。

加えてiDeCoを一時金で受け取る場合も退職所得として扱われるので、【退職所得+iDeCo一時金】が2200万円以下であれば、税金が一切かからないことになります。

一方で、仮に退職金が1500万円でiDeCoの一時金が1000万円であった場合は、下記の金額が所得として加えれらます。

[(1500万円+1000万円)2200万円]×1/2150万円

なので、超えた分は2分の1として計算され、その分が所得としてカウントされることになります。

受け取りを考える際にiDeCoの受け取りが今でないといけないのかどうかは判断する必要があります。

その上で、自分自身の退職所得控除がいくらになるのか?を計算してみて比較してみましょう。

この退職所得控除は主婦の方でも活用できる制度なので、家族で有効活用できる制度と言えるでしょう。

■老齢基礎年金とiDeCo併用で受け取りパターンを考える

 

上の内容のような例では、退職金が少ない、もしくは退職金が無い方であれば、iDeCoを一時金として受け取っても非課税である可能性が高いため、いい選択肢と言えるでしょう。
(勿論、そのまま、運用を続ける選択肢もあります)

一方で、退職金がある程度あり、「控除額を計算しても退職所得控除額を超えてしまう!」という場合はどう考えて行けばよいのでしょうか。

その場合は年金との併用でうまく節税できるパターンがあります。

具体的に見て行きましょう。

iDeCoを年金形式で受け取る場合は、公的年金控除が活用できます。

65歳未満の場合、年間で受け取る金額が70万円以下であれば、非課税となります。

しかしながら懸念点としては、基本的にiDeCoを年金として受け取る場合、5年から20年以内に受け取るような設定をしなければなりません。

そのため、5年後に満期の年金を受け取るとすると780,100円/年が加算されます。
(年金についてはこちらでも解説してます)

となると、年金+iDeCoの収入が130万円を超えてくると、別途税金が課される可能性もあります。

しかしながら60歳~65歳の間、毎年70万円の非課税枠があるので、年金とiDeCoを併用したい場合は、この5年を有効活用したいところです。

65歳以降になって年金を受け取った後のiDeCo残金分を一時金として受け取ることができれば、60歳時に退職金とiDeCoの一括受け取りよりも節税効果は高まります。(ここがミソです)
(※但し、他の所得がある場合は別途異なる可能性があります)

具体的に計算してみるとわかりやすいかもしれません。

例えば、下のAさんの事例で見て見たいと思います。

■Aさんのプロファイル■
勤続年数:30年
退職金:1,500万円
iDeCo運用期間:30年
iDeCo資産:1,000万円
(※他の所得は考慮しないこととします)

➀一時金で、一気にどかんともらうパターン

まず「一時金で全て受け取る場合」

Aさんのプロファイルでは、勤続年数もiDeCoの活用期間も30年なので、30年として退職所得控除金額を計算します。

8,00万円+70万円×(30年間―20年間)=1,500万円退職所得控除額

[ (退職金1,500万円+iDeCo資産1,000万円)―1,500万円]×1/2500万円

国内では所得は累進課税となるため、5,00万円の税率は20%なので、

500万円×20%=100万円所得税(別途住民税:10万円)

となり、2500万円に対して110万円の税金が掛かることになります。

②iDeCo年金受け取り5年間の後、残金一時金としてもらうパターン

一方で、「5年間は毎年70万円をiDeCoとして受け取り、65歳時に一時金として受け取った場合」を考えてみましょう。

退職金1,500万円―1,500万円=0

(70万円―70万円)×5年=0

[(残金1,000万円―350万円)―0)]×1/2325万円

325万円×10=32.5万円所得税(別途住民税:32.5万円)

となり、2500万円に対して65万円の税金がかかることになります。

上の2つの事例を比較してみると、45万円の税金の差が発生します。
なので、受け取り方によっても税金の掛かり方が異なってくることになります。

■まとめ

 

ということで本日は3つのパターンで受け取り方法の違いを実際に見てきました。

ポイントは退職金の有無、年金額、受け取り方法の選択です。

ただ、他の所得はここには含まれてはいませんので、そちらによって多少変動があることはご留意ください。

老後資金をただ受け取るだけで税金の掛かり方が異なります、これを知っているか否かでは、しっかりとしたマネープランが考えられます。

たかが節税といえど、タイミング毎にしっかりと行っていけば大きな資産ですし、その分自分自身の余暇の楽しみや、趣味、DIY等にも使える訳です。

お金の話って何故こんなに複雑なんだろうといつも思います。

ということで本日も最後までご覧頂きましてありがとうございました。